※KDDIコマースフォワード㈱ 、略称「KCF」は2019年4月1日、同グループ会社の㈱ルクサと合併し「auコマース&ライフ株式会社」として再設立いたしました。 本記事は2019年3月31日以前に書かれた記事のアーカイブとなります。予めご了承ください。
初めまして、KDDIコマースフォワード(以下KCF)でフロントエンドエンジニアをしている小林です。
主な担当業務としては、Wowma!サイト内のカテゴリ・ランキングページの開発を行っています。
Web業界でのキャリアとしてはKCFが2社目で、前職は小さなWeb制作会社でデザイナーを3年、コーダーを2年ほど経験していました。 今回は制作会社から事業会社(自社サービス)へ転職して感じたメリット・デメリットなどをご紹介したいと思います。
「これからWeb業界に入ろうとしているけど制作会社と事業会社のどちらがいいんだろう?」
「制作会社勤務だけど、事業会社ってどうなんだろう?」(その逆も然り)
といった疑問を抱えている方の参考の一つにでもなれば幸いです。
※すべての制作会社、事業会社が今回の内容に当てはまるわけではありません。あくまで個人の見解となりますので予めご承知おきください。
Web制作会社(前職)で行っていたこと
まず、以前の制作会社で行っていたことを思い出せる限り、洗い出してみたいと思います。
雑務系
- 電話の一次受け
- 来訪者の応対
- オフィスの清掃
コーディング
- 技術検証(要望の実装が実現できるかの検証)
- PSDのスライス
- HTML(EJS)
- CSS(SCSS)
- JavaScript(jQuery)
- PHP(素)
- WordPress
- デザイナーと都度コミュニケーション(アニメーションのイメージすり合わせ等)
その他
- 社内会議
- クライアントとの折衝(ディレクション。ディレクターいなかった)
- 打ち合わせ(往訪、来訪)
- 電話
- メール
- 打ち上げ
- マニュアル作成(CMSの操作方法など、お客様用)
- 納品ファイル送付
- 技術共有会
- 会社ブログ執筆
- 新人教育
- たまに飲み会
- たまに徹夜
事業会社(KCF)で行っていること
次に、現在行っていることを挙げます。
コーディング
- 技術検証
- HTML(thymeleaf、独自タグ etc)
- CSS(SCSS, CSS Module)
- JavaScript(ES2015+, React.js, TypeScript)
- PO(プロジェクトオーナー)、ディレクターと都度コミュニケーション
その他
- スクラム
- 社内会議
- 勉強会
- 会社ブログ執筆
- チームランチ
- 飲み会
- 部活、社内イベント
といったところでしょうか。
上記を踏まえつつ、実際に私が感じたそれぞれのメリット・デメリットを挙げたいと思います。
web制作会社のメリット・デメリット
メリットに関しては見出しに☆、デメリットに関しては×をつけています
☆ 様々な種類の案件に携わることができる
- SNSを使ったキャンペーンサイトを作ってほしい
- 動画をメインに使ったプロモーションサイトを作ってほしい
- とにかくインパクト重視でゴリゴリのアニメーションをつけてリッチなページにしてほしい
- 運用は自社で行うので、WordPressで作成してほしい(マニュアル付き)
etc...
受託制作なので、作る内容は様々です。
ペライチのランディングページから、CMSを使ったコーポレートサイトなど様々な規模や種類の案件に携わることができます。
その分、新しいことにチャレンジできるチャンスが多く、web制作の総合力を付けやすいと思います。
☆ ゼロから自分(自分たち)の手で作り上げることができる
私の場合は、前職の制作会社では既存サイトの改修等よりも、ゼロから新規の作成の方が多かったです。
そのため構成〜デザイン〜コーディング、サーバの手配までを一貫して自分たちで行うため、完成した時の喜びはひとしおです。
☆ 作業スピードが上がる
タイトなスケジュールの中で複数の案件を抱えることが少なくなく、否が応でもスピードが求められるので自然と作業スピードが上がります。
ショートカットやスニペットの登録、テンプレートの作成など、自分の引き出しが増えるにつれて楽になっていきます。
ここで得た引き出しは、その後もずっと自分の財産となるのは大きいメリットだと思います。
☆ 社外の人と繋がる機会が多い
MTGや電話でクライアントと何度もやりとりすることが多いので、自然と繋がりが増えました。
とあるイベント告知のサイトを作成したときは無料でそのイベントに招待して頂いたり、映画のサイトを作った時は試写会に呼んで頂けたり、そういった経験ができたのも受託制作ならではだと思いました。
× 納期が短いことが多く、残業や徹夜が発生する可能性が高い
クライアントとの信頼関係があればスケジュールの調整をしてもらえることもありますが、場合によっては無茶振りにも答えなくてはいけない場面があります。
そんなときは覚悟を決めて作り上げる必要があります。
制作会社がハードと言われる所以でもあります。。
× 技術的にレガシーなものに縛られやすい
案件や状況にもよりますが、クライアントの環境に合わせて古いブラウザに対応させなくてはいけない等、新しい技術をすぐに取り入れることができない状況が多いように感じます。
WebアプリケーションではなくWebサイトの制作がメインであれば今でもバリバリにjQueryをメインに使うことが多いのではないかと思います。
事業会社のメリット・デメリット
☆ チーム開発ができる
KCFではプロダクト毎にチームが分かれており、チームにはプロダクトオーナー(PO)、スクラムマスター(SM)、サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニアがおり日々コミュニケーションを取りながらスクラム開発を行なっています。
前職は原則1人で案件を担当していたため、みんなで一つのプロダクトを作って成長させていくのはとてもやりがいがあり楽しいです。
困っていることを共有し助け合ったり、コードレビューをしあったりして自分の成長にもつながります。
☆ プロダクト・サービスを成長させる経験ができる
制作会社では0を1にする(ゼロから作る)ことは数多く経験できましたが、その1を100にするような経験ができませんでした。
ほとんどが納品して終わり、もしくは期間限定の公開で終わりというものだったためです。
事業会社では既存のサービスの運用、改善がメインとなるため、アクセス解析などをして様々な施策を通してKPI達成を目指していきます。
ただ作れば良いというわけではないため、ビジネス的な視点が求められますが、それはそれでみんなで議論することが面白いところでもあります。
技術的な面では、パフォーマンス改善や、他の人が見てもわかりやすいコードにするためにリファクタリングをしたり、運用ルールを統一するためにドキュメントを書いたりと、一人で開発をしていた時には経験しなかったことができて大変勉強になります。
☆ ユーザーの反応をダイレクトに見れる
上記の「プロダクト・サービスを成長させる経験ができる」にも繋がりますがありますが、自分たちの作ったプロダクトがどのようにユーザーに使われているのかを直に見れるのは、事業会社ならではのメリットだと思います。
チームみんなで分析し仮説をたて実装し、狙い通りのユーザーの反応が得られたときは格別なものがあるでしょう。
☆ 新しい技術を取り入れやすい
サービスの成長のためには、よりスピーディーに、より効率よく、より高品質なモノ作りが求められます。
そのための手段として新しい技術を採用することに会社も前向きです。
チームの開発メンバーが良しとすれば、とりあえず使ってみようというエンジニアにとっては嬉しい風土があります。
☆ いろんな社内イベントがある
KCFでは日々の業務以外にいろんなイベントが開催されています。
イベントレポートは下記にて更新中です www.wantedly.com
KCFには部活があり、任意で入部できます。私は先日読書部に入部しました。 勉強会も様々な規模で定期的に開催されていて、通常の業務以外にも知見を増やす機会が多いです。
☆ 働きやすい環境が整っている
こちらも会社によると思いますが、一般的には事業会社の方が福利厚生が整っているところが多いようです。
KCFの制度で個人的に嬉しいのはランチ補助です(半額くらいで買える!)。
そのほかにも社内にカフェテリアがあったり、寝っ転がれる芝生エリアがあったり、パーソナルスペースがあったりと気分転換できるところが用意されていて働きやすい環境が整っています。
また全社的に残業を非推奨としているのでライフワークバランスが取りやすいと思います。
× 会議が多い
入社して最初に戸惑ったのは、会議・MTGの多さでした。
ひとつのサービス・プロダクトをみんなで作っているのでどうしてもMTGが多くなるのは理解できますが、1日作業できずにMTGで終了してしまうこともたまにあります。
最初はMTGに慣れず、MTGに参加して話を聞くだけでいっぱいいっぱいでした。
次のMTGではその前のMTGの内容が前提となってくるので、前のものが理解できていないとどんどんと取り残されていってしまうため理解に必死でした。
今でこそ慣れましたが、最初は議事録を書く習慣を身につけておくと良いように感じます。
× 周りの人を動かす必要がある
開発を進めていく中で、どうしてもチーム内だけで解決しない問題が出てきた場合、部署をまたいで担当者を探して聞いたり、他の人の手を借りる必要があります。
そのような時は能動的に動き、周りの人を巻き込むような動きをしなければなりません。
制作会社の時は人が少なく全員顔見知りなので話しかけやすいですが、社員数の多い事業会社だと初対面の方が多いのでそこをうまくクリアする必要があります。
幸いKCFでは初対面でも依頼したことに対して真摯に対応してくれる方ばかりなので助かっています。
× 障害怖い
自分の作業が原因でサービスに障害が発生すると寿命が縮まるほど焦ります。
古くから運用されているサービスであればコードが複雑化しており、自分の書いたコードが思わぬところでエラーを起こす可能性があります。
すでに運用されているコードであれば、他に影響がないかしっかりと確認する必要があります。
まとめ
私の少ない経験から、双方のメリットとデメリットを紹介させていただきました。
絶対にこっちの方が良い!ということは言えませんが、とにかくいろんなものを作ってみたいという方は制作会社が適していて、チーム開発をしたい・サービスを成長させていきたいという方は事業会社が適しているのではないでしょうか。
ただ、長期的にエンジニアとしてのキャリアを考えるのであれば、まずは制作会社で様々な種類の実装を経験した方が良いと思います。
その方が自分の得意分野を見つけやすいし、基本的なところから幅広いスキルを身につけられると思います。
ここで経験したことが、のちのち事業会社へ転職したとき等に役立つことが数多くあるのではないでしょうか。
個人的には、事業会社であるKCFに転職してから、JavaScriptの細かい仕様に対して興味が出たり、サービス・プロダクトを支える様々な技術を間近で見れて大変勉強になり転職してよかったと感じていますが、これも制作会社で基本を学べたおかげだと思います。
これまでの経験と、これからの知見をもとにWowma!を成長させていきたいです。